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2005年 07月 10日
一、心神喪失者ノ行為ハ 之ヲ罰セズ
一、心神耗弱者ノ行為ハ 之ヲ減軽ス 殺人を犯したことを認め、死刑を望みながらも、奇怪な言動を繰り返し、精神鑑定を受けることになる劇団員の男。 鑑定助手として彼の言動を目の当たりにしながら、詐病ではないかと疑う女。 息詰まる攻防の果てに、浮かび上がった真実。 男が本当に望んでいたことは・・・。 犯人・柴田真樹に堤真一さん。 鑑定人・小川香深に鈴木京香さん。 脇を固めるのは、樹木希林さん、江守徹さん、杉浦直樹さん、岸部一徳さんなど・・・。 登場するどの人物も、普通でない、どこか壊れたキャラクターだったため、誰かに感情移入することなく、俯瞰からすべてを目撃する立場に置かれる。 堤さんの、二つの人格を行き来する演技。全身の痙攣。狂気の宿った目。 どこまで振り切れていくのだろうと思わせる。 京香さんも、いつもの華やかさやかっこよさを封印して、暗い過去を背負い、今もそれを引きずる女性を演じている。 それから印象的だったのは岸部一徳さん。 堤さんと机をはさんで対峙するシーン。 堤さんの後ろ姿越しに岸部さんがニヤニヤ笑いながら語り続ける。 一時も止まることのない、妙なツヤのある品のない唇。そこから目が離せなくなった。 暗く重く息苦しく、目を逸らしたいのに逸らせない。 ぼんやりとする頭ですべてを見終えた後、エンドロールになってようやく感想のようなものが浮かんでくる。 柴田は、罪から逃れたかったのではない。 法の名のもとに罪を免れ、のうのうと生きる者がいる。 その法に、凶器を突き立てたかった。 その法をもとにした判断が間違いであると、自分自身を使って証明しようとしていた。 それを知り、精神鑑定の誤りを正して、真実の彼と向き合おうとしたのはただ一人、香深だけだった。 だから彼は、香深を“共犯者”と呼んだのだ。 もちろん刑法第三十九条の是非というのは、簡単に判断すべきではない。 でも彼のような立場に置かれた者にとって、その法は理不尽以外の何物でもなかった。 昨今の少年犯罪急増の中で、議論されることも多かった加害者の人権。 そんな中で置き去りにされた、被害者やその家族の心情。 とても重い、重要なテーマであると思う。
by cygne73_76
| 2005-07-10 14:49
| 映画のキロク
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